用途:専用住宅  規模:木造2階建て  敷地面積:123.55㎡(37.31坪)  延床面積:98.82㎡(29.89坪)  所在地:東京都練馬区




敷地は都内の完成な住宅街にあり、袋小路状の私道の一番奥に位置しています。形状はほぼ成型で実質30坪程の広さ。3方(西側以外)はかなり近接して民家が建っているという都内ではごく一般的に見られる条件の敷地です。
奥さんは料理やフラワーアレンジメントなど多趣味な方で、ハーブや植物を育てることのできるスペースを計画しました。また敷地を最大限有効利用するとともに、将来を考慮し(足腰が弱った場合など)、主な生活空間(居間・食堂)は接地性の良い1階にするよう希望されました。
最大の課題は、敷地を最大限有効利用し、密集する住宅地において主な生活空間となる1階に光を取り入れる事、さらにプライバシーを保ちながら内部と外部をいかに連続させ心地よい住空間を確保するかということでした。
模型やCGを用いて隣接民家の影響による季節ごとの日照条件をスタディし、敷地のポテンシャルを徹底的に検証。この結果をもとに、袋小路と連続するように庭をとり、さらにこれを囲むように「居間」「階段」「食堂・厨房」をL字型に配置しました。基本的に1階は間仕切りのない一室空間ですが、L型に曲がっていることで、それぞれが柔らかい領域を形成しています。各々の場から、花水木の植えられた外に向かって敷地いっぱいに広がりを感じる事ができるようにしました。また、L型の要の位置にあたる階段部分は吹き抜けとし、かつ屋根面上部のハイサイドライトから1階の生活空間まで季節毎にコントロールされた光が届くように平面的・断面的な工夫をしました。
外は小さな庭の中に機能を集約し、「アプローチ」「デッキ」「植栽」「サービス」のスペースを配置。それぞれの領域は、内とのつながりの密度を序列化し、塀やベンチ、キッチンガーデンによって分けています。このように内から外への距離感を調整することによって、住宅密集地において開放感のある住空間が可能となりました。